先週、研修会で居住用財産の譲渡について勉強をしてきました。居住用財産の譲渡は一人のお客様でみると、人生に1回あるかないかの話かもしれません。しかし、適用手続を誤ると過剰に多額の税金を余計に納めることになるため、重要な話になります。
ここでは、適用漏れがないように次のような場合には、相談をしてみましょうと意味で簡単に事例を説明をします。
■居住用財産を譲渡して譲渡益が出た場合、
・居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除が受けられます。
・所有期間が10年超の場合、軽減税率の特例(所得税率15%→6000万まで10%)が受けられます。
・所有期間が10年超で居住期間が10年以上、譲渡対価が1億以下で居住用財産の買換えを行う場合、特別控除と軽減税率の特例に代えて課税の繰り延べを行えます。
・居住用財産を買換えで取得して、新しい居住用財産を購入した時は住宅借入金等特別控除の適用があります。ただし、特別控除軽減税率の特例や買換えの課税の繰り延べとの選択になります。
■居住用財産を譲渡して譲渡損が出た場合、
・所有期間5年超の居住用財産を譲渡して、住宅借入金等をもって居住用財産の買換えを行うときは、譲渡損失の金額を他の所得と損益通算できます。この場合の住宅の取得には住宅借入金等特別控除を併用できます。
・所有期間5年超の居住用財産を譲渡して、譲渡した居住用財産に関する借入金が譲渡対価を超えるときは、その超える金額を限度として、譲渡損失の金額を他の所得と損益通算できます。
■相続で取得した被相続人居住用家屋を譲渡する場合
・被相続人が単独で居住していた居住用家屋とその敷地を譲渡する場合には、被相続人の居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築され、相続後他の人の居住の用や貸付の用に使われていない等の要件を満たし、相続があった日以後3年経過年の12月31日までに空き家を取り壊して譲渡するか、耐震リフォーム後に譲渡したときには3000万円の特別控除の適用があります。
注意していただきたいこととしては、所有期間の判断が10年超、5年超とあり、その期間の計算が譲渡年の1月1日においての所有期間で判断することであったり、買換えの場合には特別控除+軽減税率の特例、買換えの課税の繰り延べ+認定新築等特別控除、住宅借入金等特別控除の有利選択が生じたりと、先に譲渡をしてから適用要件を確認すると使えない場合が出てくるので相談しながら慎重に対応すべき内容になります。
居住用財産という言葉にしても居住の用に供されなくなった日から3年経過年の12月31日までに譲渡するものに限定されていたり、家屋を先に取り壊して譲渡する場合には取り壊しから1年以内に譲渡契約を締結するものに限定されていたりと、先を見据えた譲渡計画が必要です。
この規定を使えると自信をもって提案できるように今後も研修会等で勉強していきたいと思います。
(by M・K)