世間でコロナ禍の兆候が出てきた今年の春先以降、税務署の臨場による税務調査は、停止されていました。
昨今のコロナ対策の浸透により、この10月から「実地調査」が再開されます。
コロナ感染症対策を実施した上でのことですが、従前の調査とは、かなり趣きが変わっていますので、お知らせします。
1.現在の税務調査の手順
平成26年の税制改正で、平成27年7月以降の税務調査では、税務代理権限証書に、納税者の同意が記載されている場合、直接に納税者に調査通知がいかずに、まず税理士に通知が入ることになりました。
このため、税務調査の日程調整等は税理士側が納税者(お客様)と打ち合わせしながらの作業になります。
2.税務調査に向けての税務署サイドの感染防止策
調査担当者は、調査先に出張する前に、次の感染防止策をして、管理者(上司)の確認を受けます。
①検温の実施
②手洗い・手指消毒の実施
③咳・発熱等の有無の再確認
さらに、調査先では、納税者の協力の元、次の感染防止策を行います。
①マスクの着用の徹底(納税者や調査立会人にも協力を依頼する)
②応対時には、一定程度の距離を保ち、会話の際、可能な限り真正面を避ける
③窓や扉を開け、定期的に換気
➃職員の人数や滞在する時間を可能な限り最小限にする
ゆえに、今後は、税理士側で事前通知の際に、調査の実施場所について3密を避けることができる場所が確保できるかの確認も必要になります。
3.税務調査の傾向と対策
長く実地調査が無かったため、その分、準備調査に時間を割くことが出来ています。ピンポイントに疑問点を突いてくる厳しい調査になりそうです。
その為に、税務調査対象は、短い調査期間で増差額を出せる可能性が高い、コロナ禍前に好調な収益を出した、黒字法人に集中しそうです。
一方、コロナ禍の影響で、ほぼ全業種で、不況の状況に陥っています。資金繰りが厳しい中では、追加納税を望まない納税者と税務署との間での交渉事も増えるものと予想しています。
(文責 税理士 大和田利明)
1 給与所得控除に関する改正
給与所得控除額が一律10万円引き下げられ、控除額の上限も引き下げられました。
給与の収入金額(A) | 給与所得控除額 | ||
改正後 | 改正前 | ||
162.5万円以下 | 55万円 | 65万円 | |
162.5万円超 | 180万円以下 | (A)×40%-10万円 | (A)×40% |
180万円超 | 360万円以下 | (A)×30%+8万円 | (A)×30%+18万円 |
360万円超 | 660万円以下 | (A)×20%+44万円 | (A)×20%+54万円 |
660万円超 | 850万円以下 | (A)×10%+110万円 | (A)×10%+120万円 |
850万円超 | 1,000万円以下 | 195万円 | |
1,000万円超 | 220万円 |
2 基礎控除に関する改正
基礎控除額の上限が10万円引き上げられましたが、合計所得金額が2,400万円を超える所得者は次の表のとおり改正されました。
合計所得金額 | 基礎控除額 | ||
改正後 | 改正前 | ||
2,400万円以下 | 48万円 | 38万円 (所得制限なし) |
|
2,400万円超 | 2,450万円以下 | 32万円 | |
2,450万円超 | 2,500万円以下 | 16万円 | |
2,500万円超 | 0円 |
3 所得金額調整控除の創設
その年の給与の収入金額が850万円を超える所得者で、次の4つの要件のいずれかに該当する場合に、給与の収入金額(1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額(最高15万円)を、給与所得の金額から控除することとされました。
イ 所得者本人が特別障害者
ロ 同一生計配偶者が特別障害者
ハ 扶養親族が特別障害者
ニ 扶養親族が年齢23歳未満(平成10年1月2日以後生)
4 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
同一生計配偶者、扶養親族、源泉控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者及び勤労学生の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられました。
5 ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
省略(大和田会計ニュース第139号に掲載されています。)
以上、国税庁HPより