決算事前対策の1つに、「地代家賃や保険料の1年分前払い」で費用を増やす方法があります。初年度は、一気に年額を費用化できるので、節税効果があります。
内容について注意点をお伝えします。
1.前払費用として支払時に損金算入が認められる要件
①一定の契約に基づき、継続的に等質・等量の役務の提供を受けるもの
②役務の提供の対価であること
③翌期以降に時の経過に応じて費用化されるもの
➃当期中に、現実にその対価を支払っていること
2.前払費用に該当する費用・該当しない費用
前払費用に該当する費用 |
前払費用に該当しない費用 |
① 土地建物の賃貸料 | イ.前払給与、前払顧問料 |
② 手形割引料・借入金利子 | ロ.翌期CM料などの前払い |
③ 保険料 | ハ.物の購入や生産物の対価の前渡 |
④ 繰延資産にならないロイヤリティー | ニ. 繰延資産になるノーハウの頭金 |
3.前払費用に関する注意点
前払費用を認める理由が、「前払費用になる経過勘定の項目は、時の経過に応じて次期以降の費用にするので、本来は、貸借対照表に載せる」ところが、
「重要性に乏しいもの」は、経過勘定として貸借対照表に計上せずに、期間の損益として処理できることを根拠にしています。 ゆえに、
①明確な金額基準はないが、金額的に「重要性が乏しいもの」であること
②決算月以降の1年分を決算月に払うこと
例えば、2年分を前払いした場合では、1年を超えているので、決算月の1カ月分しか損金にできない。
③毎期継続して支払うこと。
法人の事情で、黒字だから短期前払費用にしたが、赤字になるから月払いに戻すなどは認めない。
4.営業上重要な費用ゆえに、認められていない短期前払費用
海運業者の借船料・船体保険料 | 自動車運送業の車体保険料 |
百貨店業者における店舗賃借料 | 金融業の支払利息割引料 |
(文責 税理士 大和田利明)
ロケットが月に行けた理由の一つに「軌道修正が的確であったから」といわれています。
月に行く過程には様々な障害や予期せぬことが発生し、当初の計画通りに行くことはなかなかできません。コンピュータを駆使し、タイムリーに現在位置を確認するとともに「ズレ」を修正しながら目標に向かって突き進んでいく事が出来たからと言われています。
すなわち、経営計画達成のためには、
①「ズレ」がわかる仕組み
②「ズレ」を修正する仕組み
の二つの達成管理の仕組みが会社の中に確立される必要があるのです。
まず「ズレがわかる仕組み」とはどのようなものでしょうか?
単なる実績だけではなく、計画値と実績値が比較表示され、パーセンテージや差額によって「ズレ」が把握できるような予実管理の仕組みをいいます。
人は「ズレ」を認識したときに改善意識が働くのです。
なお、数値面だけではなく行動面に関しても、この「ズレ」がわかる仕組みを確立することが達成管理に欠かせないのです。
しかも、それは「タイムリー」にわかる必要があることです。
あんしん経営をサポートする会「ロケット理論に学ぶ」より抜粋
「ズレ」=「課題」として取り組むことで、目標達成に近づいていきます。逆に放っておいたり、時間が経てば「ズレ」が大きくなり、修正することが困難になって目標達成が難しくなります。そのためにも経営計画立案の際には明確なアクションプラン(行動計画)を作成することと、ズレを修正するための経営サイクル(Plan-Do-See)が重要だと思います。課題を解決するために計画を立て実践して検証することを繰り返すことが予実管理の重要な取り組みの一つです。
「MAS監査」とは、経営計画を軸とした経営サイクル(Plan-Do-See)の確立による「先見経営・先行管理」を実現させ、「目標達成ができる経営体質強化」を支援するための経営サポートです。
MAS監査の基本5業務
① 決算診断・分析
② 中期経営計画立案
③ 単年度経営計画立案
④ 経営計画発表会
⑤ 予実管理