平成29年4月から、消費税の標準税率が10%になると同時に軽減税率制度が導入されます。併せて複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、インボイス制度が平成33年4月から導入されます。
平成29年4月から平成33年3月までは現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置がとられています。
1.軽減税率の対象と税率
対象品目 |
①飲食料品の譲渡 「飲食料品」とは、食料表示法に規定する食品です。これには、酒税法に規定する酒類は除かれます。 また、一定の飲食設備のある場所での食事の提供(外食サービス)も除かれます。 ②定期購読契約がされた週2回以上発行される新聞の譲渡 |
軽減税率は6.24% (地方消費税と合わ せて8%) |
2.インボイス方式導入前(平成29年4月~平成33年3月)の経過措置
仕入税額控除制度 | 請求書等保存方式が維持されます。 |
帳簿の記載事項 |
現行の①仕入先の名称 ②取引年月日 ③取引内容 ④取引金額 に加えて ⑤軽減税率対象品目である旨の記載をします。 また、請求書には「税率の異なるごとに合計した対価の額」の記載が必要です。 |
免税事業者との取引 |
免税事業者から行った仕入取引についても、仕入税額控除の適用を受けることができます。但し、平成33年4月以降は一定期間の経過措置後に仕入税額控除の適用が出来なくなりす。 |
売上・仕入の経過措置 |
売上や仕入を税率の異なるごとに区分することが困難な事業者については、売上税額・仕入税額の簡便計算を認める措置を講じています。 |
簡易課税制度の選択 |
基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、仕入を複数税率に分けて経理することが困難な場合→直前日ではなく、期末日までの簡易課税の選択届の提出が適用できる。 ↑ 平成29年4月から30年3月までの日の属する課税期間 |
(文責 税理士 大和田利明)
労働の対価として、毎月支払われる給与。
皆様の会社では、20日締めの月末払いや、月末締めの翌月5日払いといった、一定のルールがあると思います。
あまりに一般的なため、慣習によるものと思いがちですが
従業員への支払を保障するために、労働基準法に次のような規定があります。
・ 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
・ 毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので命令で定める賃金についてはこの限りでない。(労働基準法第24条)
上記では、5つの原則がよみとれ、「 賃金支払いの5原則 」といわれます。
◎通貨払いの原則 ◎直接払いの原則 ◎全額払いの原則
◎毎月払いの原則 ◎一定期日払いの原則
◎通貨払いの原則
賃金は通貨で支払わなければなりません。
現物給与は禁止されています。
*通帳の口座振り込みは? 労働者の同意を得た場合は可能です。
この場合も、労働者の自由意思に基づき、労働者の本人名義の口座で、全額が支給日に
払い出せることが要件となります。意思を確認したということで、従業員からの振込依頼書を取っておく事が一般的です。
◎直接払いの原則
給与を従業員本人以外に支払うことを禁止しています。古くに中間搾取があった事から設けられているようです。この原則のため通帳への振込の場合も、本人名義となるわけです。ただし、従業員本人が入院等で受け取れない場合等、従業員の使者(妻や子)に支払うことは可能とされています。
◎全額支払いの原則
給与は全額を支払わなければなりません。弁当代や共同購入等の金額を相殺することもあるかと思いますが原則禁止です。ただし法令または、労使協定による控除は可能です。
*法令によるもの 所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料
*労使協定によるもの=労使の書面による協定ではじめて給与控除可能
例:財形、寮費、弁当代、社内積立
◎毎月支払の原則
給与は、毎月1日から月末までの間に、1回は支払わなければなりません。
締め切りの対象期間は、各自の会社で設定できます。
適度の計算期間も必要なため、締め日によっては当月分を翌月支払することも可能です。
◎一定期日払いの原則
給与は、一定の期日に支払わなければなりません。期日は特定されており、周期的に訪れるものである必要があります。
注意すべきポイントとしては、①口座振り込みが一般化していると思われますので意思表示となる振込依頼書をとっているか? ②法令によらない控除を行う際労使協定を結んでいるか? という2点になると思います。