先日、与党の税制改正大綱が公表されました。国会での審議後に施行の運びとなりますが、中小企業を中心に、法人税関連を確認しておきます。
1.法人税の引き下げ (法人の実効税率を30%以下へさげる)
開始事業年度 | 平成27年4月1日~平成28年3月31日 | 平成28年4月1日~平成30年3月31日 | 平成30年4月1日~ | |||
普通 法人(資本金1億円超) | 23.9% | 23.4% |
23.2% | |||
中小 法人(資本金1億円以下) | 所得800万円迄15% | 所得800万円超23.9% | 所得800万円迄15% | 所得800万円超23.4% | 所得800万円迄19% | 所得800万円超23.2% |
国・地方の法人実効税率 | 32.11% | 29.97% | 29.74% |
2.建物附属設備・構築物の減価償却方法が「定額法」に統一(平成28年4月~)
資産 年度 | ~平成24.3.31 | ~平成28.3.31 | 平成28.4.1~ |
建 物 | 定 額 法 | ||
建物附属設備・構築物 | 定額法 又は200%定率法 | 定額法 又は200%定率法 | 定額法 |
機械装置・工具器具備品・車両運搬具 | 定額法 又は200%定率法 | ||
無形固定資産 | 定 額 法 |
3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長
取得価額が30万円未満の減価償却資産を平成30年3月31日(現行28.3.31まで)までに取得し、事業の用に供すると全額損金算入される。
取得価格 | 10万円未満 | 20万円未満 | 30万円未満※資本金1億円以下で従業員1000名以下 |
必要経費損金への算入 | 全額損金算入 | 3年間均等償却 | 全額損金算入合計300万円以下 |
4.中小企業者等の欠損金の繰戻還付の適用期限の延長
適用期限が平成30年3月31日まで(現行28.3.31まで)に開始する事業年度に延長
(文責 税理士 大和田利明)
附帯税とは行政制裁的な性格を有するペナルティーで損金算入出来ません。
■ 過少申告加算税
・ 申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が過少であった場合に課される税金です。
・ 追加で納めることになった税金の10%相当額が課されます。ただし、追加で納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
・ 自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税はかかりません。
■ 無申告加算税
・ 申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課されます。
・ 納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
・ 自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
■ 不納付加算税
・ 源泉所得税を納付期限までに納付しなかった場合に課される税金です。
・ 納付すべき税額に対して10%の割合を乗じて計算した金額となります。
・ 自主的に納付した場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
・ 納付期限から1月を経過する日までに納付し、過去一年以内において納付期限内に源泉所得税を納付している場合には、不納付加算税は課されません。
■ 重加算税
・ 事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合、又は仮装に基づいて過少申告を行った場合に課される税金です。
・ 過少申告加算税に代えて課す場合は、新たに納めることになった税金の35%相当額が課されます。
・ 無申告加算税に代えて課す場合は、納付すべき税額に対して40%の割合を乗じて計算した金額となります。
・ 不納付加算税に代えて課す場合は、納付すべき税額に対して35%の割合を乗じて計算した金額となります。
■ 延滞税
・ 税金が期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が課されます。
・ 法定納期限の翌日から2月を経過する日までは、年「7.3%」と「特定基準割合+1%」のいずれか低い割合。(H27.1.1~H27.12.31の期間は、年2.8%)
・ 納期限の翌日から2月を経過した日以後は、日以後は、年「14.6%」と「特定基準割合+7.3%」のいずれか低い割合。(H27.1.1~H27.12.31の期間は、年9.1%)
■ 利子税
・ 国税について延納または納税申告書の提出期限の延長が認められた場合に、その期間に応じて課せられる税金です。(付帯税のうち利子税のみ損金に算入されます。)
■ 過怠税
・ 印紙を貼り付けなければならない文書に貼り付けなかった場合に印紙の額面の3倍の金額、消印しなかった場合には印紙の額面金額
・ 自主的に不納付を申し出た場合には印紙税額の1.1倍に軽減されます。
ケースによっては高額になる場合がありますので、期限内に正しい申告と納付を行いましょう。
加算税の概要(財務省)のリンクはこちらから
延滞税について(国税庁)のリンクはこちらから
※誠に勝手ながら12月30日(水)~1月3日(日)までを年末年始の休みとさせて頂きます。