平成27年税制改正で、中小企業の法人税率が引下げられています。
これは、最終的に法人の実効税率を20%台に引下げる目標があるためです。
対 象 | 所得金額区分 | 改正前税率 | H27.4月~開始年度 |
中小企業等法人 (資本金1億円以下) |
年800万円以下 | 15% | 15% |
年800万円超 | 25.5% | 23.9% |
今までは、法人の税率が個人の税率より高いので、法人から経営者への所得の移行が、税金対策になりましたが、
これからは、①高齢化社会に対応して増える社会保障負担と、②所得格差是正の為の累進課税税率の見直し、さらに③国際競争力確保の為の法人税率の引下げの3つの組み合わせの中で、トータルでの負担軽減を考える必要があります。
各々に計算過程があるので、正確に比較することは難しいのですが、簡単な前提で、比較表を作成しましたので、参照下さい。
(例) 福島市の資本金1,000万円の法人で、役員は社長1人。社会保険加入。
個人の基礎控除以外の所得控除と法人の所得の加算・減算はないものとする。
役員報酬差引前利益 2,000万円 |
報酬 1,000万円 利益 1,000万円 |
報酬 1,400万円 利益 600万円 |
報酬 1,800万円 利益 200万円 |
社長の所得税と税率 | 828千円 (8.3%) |
1,723千円 (12.3%) |
3,040千円 (16.9%) |
社長の住民税と税率 | 624千円 (6.2%) |
982千円 (7.0%) |
1,373千円 (7.6%) |
法人税等と税率 | 2,774千円 (27.7%) |
1,439千円 (24.0%) |
468千円 (23.4%) |
社長の社会保険料 | 1,226千円 | 1,449千円 | 1,490千円 |
会社・個人の税金と社会保険料 合計 | 5,452千円 (27.3%) |
5,593千円 (27.8%) |
6,371千円 (31.9%) |
この試算では役員報酬が900万円~1,400万円の間では、税と社会保険料の合計額の負担率が概ね27%台になり、この範囲が負担の低いゾーンになります。
(文責 税理士 大和田利明)
住宅の購入については資材の調達から施工・完成まで様々な経済主体が関わります。
そのため①住宅ローンにより新たな資金が市場に流れて経済活動を活発化させること、②省エネ住宅による経済資源の節約、③マイホームの取得支援、といった目的を達成するために購入を促す仕組みが多数設けられています。
そこで、複雑な住宅に関する制度について主要な部分を所得税、贈与税、給付金に区分して概要をまとめてみました。
■所得税
・住宅ローン減税
住宅ローンを利用して一定の住宅の新築・取得、バリアフリーや省エネ改修工事を含む増改築を行った場合には、住宅ローンの年末残高の1%(条件により異なります)相当額を所得税又は住民税(住民税については増改築等の場合を除く)から控除できます。
・住宅特定改修特別税額控除又は認定住宅特別税額控除
住宅ローンを利用しない場合であっても、既存住宅について一定の要件を満たす住宅耐震改修やバリアフリー改修工事、省エネ改修工事をしたとき又は認定住宅の新築等をしたときには、標準的な費用の額の10%(それぞれ限度額があります)を所得税から控除できます。
■贈与税
・祖父母や両親からの住宅取得資金の贈与に対する贈与税の非課税
直系尊属(祖父母や両親)から20歳以上の者が住宅取得資金の贈与を受けた場合に、対象工事や所得条件など一定の要件を満たすと限度額1,500万円又は1,000万円(平成27年中の場合)まで非課税となります。
■給付金
・すまい給付金
住宅を取得し登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住し、収入が一定以下等の要件を満たす方が、給付申請書を添付書類とともに提出することで現金の給付(消費税8%時最大30万円)を受けることができます。
・省エネ住宅ポイント
自ら居住することを目的としてエコ住宅を新築される方と断熱改修やエコ住宅設備設置のエコリフォームをされる方にポイントを発行します。エコ商品、地方特産品、商品券などとポイント交換ができます。申請期限は予算が尽きると終了で遅くとも平成27年11月30日までには締め切るようです。
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