昭和62年に最初に就職した税理士事務所で、初めて書いた自分の所得税の確定申告書から今に至る34枚の申告書は、自分の歴史そのものですね。
当時は、税理士事務所に、ようやく財務オフコンといわれる汎用コンピューターが入り始めた頃です。伝票を入力するだけで貸借対照表と損益計算書と総勘定元帳が出来上がる。これだけでも電卓とペンとT字勘定で育った世代には画期的でした。
当然まだ、所得税の確定申告書は手書きで、下書きの後、計算機で検算してから清書をしていました。手間と神経を使う作業で、この時期は毎日遅くまでの残業が当たり前でした。
その後、私の申告書は平成13年から手書きからプリントに、平成18年からは電子申告へと切り替わり、まさしく隔世の感があります。
それでも改めて感動することは、所得税の根幹は変わらずに脈々と受け継がれていることです。所得の区分も控除される項目もほぼ不変で、税の基本的な考え方は一貫しています。
ただし、年中行事さながら、毎年繰り返される確定申告風景はコロナ禍で一変してしまいました。賑わいを見せていた集合型の確定申告会場は、予約制で整然としています。出かけずとも、スマホから当たり前に申告ができる時代になりました。
もっとも、事務所では、忙しさの後の愉しみの打ち上げも叶わなくなり、寂しい限りです。
苦労を共にしたからこそ、労いと感謝を伝えたいのに3年連続で宴会ができないなんて。
かわりに、お客様のところで社員の皆の持ち帰り用にパンとお菓子の詰め合わせをお願いしました。ぜひ、不便をかけた家族の方々と共に楽しんで欲しいものです。
(by 大和田)