発行日:平成26年4月8日
復興財源の確保の為に、通常の基準法人税額に加えて10%の復興特別法人税が上乗せされていました。(平成24年4月1日開始事業年度から3年間)これが2年間に短縮されます。
景況の回復で、財源の確保のめどが立ち、加えて4月からの消費増税に対応して企業サイドの賃金アップの後押しを狙ってのこと。
具体的には3月決算の会社では、平成26年3月期申告までは復興特別法人税がかかりますが、以後は無し。12月決算の会社は平成26年12月期申告まで掛かることになります。
ちなみに、平成25年から平成49年までの25年間にかかる「復興特別所得税」(基準所得税×2.1%)はそのまま継続されています。
ここ数年、中小法人の交際費の損金算入限度額の拡大が計られています。まとめてみると
期末資本金の額 | 損金算入限度額 | ||
---|---|---|---|
平成25年3月31日までに開始する事業年度 | 25年4月~26年3月の間に開始する事業年度 | 26年4月~28年3月の間に開始する事業年度 | |
1億円以下の中小法人 | ①支出交際費 ②年間600万円 ①②のいずれか少ない金額×90% |
①支出交際費 ②年間800万円 ①②のいずれか少ない金額 |
左記の条件が2年間延長された。 さらに、交際費中の飲食費の50%損金算入(金額上限なし)との選択もできる。 |
要約すると | 1人5千円以下の飲食費以外は、600万円までは10%否認 | 1人5千円以下の飲食費に加え、それ以外も800万円まで全額経費 |
具体的には、3月決算の会社であれば、今回の26年3月期の法人税の申告では
・1人当たり5千円以下の飲食費であれば、交際費に含めない
・上記以外の飲食費と得意先への慶弔費等が交際費になるが、800万円までなら全額経費
となり、従来よりもかなり有利な取り扱いになっています。
26年4月以降開始事業年度では、多額の接待飲食費を使う中小法人では、飲食費の50%(金額の上限はない)を損金算入する特例との選択適用もできます。
(文責 税理士 大和田利明)
平成26年4月1日以降作成される「金銭又は有価証券の受取書(領収書等)」に係る印紙税の非課税範囲が「3万円未満」から「5万円未満」へ拡大しました。
建築工事などの請負契約書や、商品などの販売代金を受取ったときに作成する売代金の受取書などは、その文書の記載金額に応じて印紙税が課税されます。
この「記載金額」は、消費税額を区分記載等していれば、消費税額を含めない金額とすることができます(第1号文書〔不動産の譲渡等に関する契約書〕、第2号文書〔請負に関する契約書〕、第17号文書〔金銭又は有価証券の受取書〕において適用されます)。
第2号文書については、平成26年4月1日以降の消費税率引上げに伴い、請負契約等について、新たに課される消費税等相当額のみを増額するために、原契約書の契約金額等を変更する契約書を作成することが予測されます。
さて、ここで問題です。
Q.消費税額のみが記載されており、かつ消費税額が区分記載してある場合、印紙税の取り扱いはどのようになるでしょうか。
(a)そもそも消費税増税分の金額の変更であるため、「重要な事項」を変更する変更契約書に該当しない。
(b)消費税が区分記載されているため、印紙は貼らなくて良い。
(c)印紙税がかかる。
答えは(c)です。(a)の「重要な事項」には請負の内容、契約金額、取扱数量、単価などが該当しますが、「契約金額」に変更はなくとも、これと「密接に関連する事項」(消費税額等)に変更がある場合には、課税文書に該当することとなります。
この場合の契約書は、消費税が記載金額に含まれないため「記載金額の記載のない契約書」に該当することとなり、200円の印紙税がかかります。
なお、第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)・第2号文書(請負に関する契約書)については、消費税額のみの記載が1万円未満であれば非課税文書に該当し、印紙税がかかりません。
第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)であれば、5万円未満が非課税文書となるため、その消費税額のみの記載が5万円未満であれば、印紙税がかかりません。