発行日:平成25年2月15日
平成25年1月から、税務調査手続きを定めた国税通則法の改正が施行されています。改正のねらいは、調査手続きの透明性や予見性を高めて、納税者の協力を得ながら効果的な調査の実施をすることとされています。間近に新たな通則法による調査を受け、変わった点が確認できましたのでお伝えします。
これまでの税務調査の依頼は、最初に納税者へ電話で日程の確認をして、その後に顧問税理士に通知されていました。電話の通知は同じですが、通知内容は①調査する旨、②調査開始日時、③調査をする場所、④調査の目的、⑤調査対象税目、⑥調査対象期間、⑦調査対象となる帳簿の例示、⑧調査を行う職員名など11項目にわたり、今までは聞かなければ答えてもらえないことも通知内容に盛り込まれました。実際には、これを電話口で長々とされるので、税務署の電話で緊張する中、メモを取りながらの対応はツライようです。日程確認以外は顧問税理士に詳細の通知依頼ができますので、ぜひその旨を税務署に伝えてください。
今までは、パソコンの中の記録の確認については曖昧なところがあり、調査官により差がありましたが、まずは画面上で調査官が確認できる状態にしておき、必要と思われるところを操作しながら示す。さらに、必要とされる場合、プリントアウトして渡すことや記録媒体(USBなど)にコピーを依頼するとされました。ゆえに、事前にパソコンの記録の整理も必要です。また、調査書類の預かりも「留置き」と呼称され、定型の預り証の発行をするなど手続きがハッキリしましたが、その分、資料の持ち帰りの頻度が増えました。正当な理由がない場合、帳簿書類の提出や提示を拒むと新たに罰則規定が設けられましたが、現場ではまだ強権的な扱いを控えて対応している印象です。
調査はおおむね、申告是認か修正申告で終わります。今までは、口頭や電話で、納税者や顧問税理士に対して結果の説明をして終了することが多く、書面での通知は一部だけでした。これが、申告是認も修正申告も書面による通知がされるようになりました。特に修正申告の場合は、納税者本人に対しての調査結果の報告と修正申告の勧奨をし、さらに「その後の不服申立てはできないが、更正の請求はできる」旨の書面が後日、交付されてきます。
(文責 税理士 大和田利明)
税理士・会計士のように試算表を見慣れているプロの目は、ポイントをさっとみて、その会社がどのような状況にあるのかを判断しています。まず、損益計算書の3点、貸借対照表で8点の合計11点のポイントを見ます。みなさんもプロの目で、会社の試算表や決算書を見てみましょう。
売上の観点からは何よりも売上高が上がっているのかどうかをみる。売上が伸びている企業にはそれなりの理由があります。次に数量が減少しているか、単価が下落しているのかなどの傾向に注目。
まずは一人あたりの付加価値生産性が減少していないかなど、減少についてチェックすることが重要。
一般的に一流企業の一人当たりの付加価値生産性は1,400万くらいです。
企業の役員が役員給与をとっているかをみる。金額的に役員給与はどれくらいか、未払いとなっていないかなどみる。また、引当金、減価償却費は妥当な数字となっているかを確認する。
最も単純で大きなポイントは、純資産がプラスかマイナスかということです。企業の通常の状態は、純資産がプラスになっている。逆にマイナスになっていれば、その企業は欠損企業であり、破産が間近か、あるいは実質上破産している状態です。
増運か減運かをみる。増運とは運転資金が増えている会社のことであり、減運とは運転資金が減っている会社のこと。増運の会社とは飲食業、エステサロンなどの業種に多くみられ、減運の会社は建築業が代表的です。
現金預金の推移(3期~4期)によって会社の状況が把握できる。期末残高がゼロに近い会社であれば危険です。
借入金が適正かを把握する。借入先が複数である場合は1本化するのが望ましい。
まずは、売掛金の増減をみる。売掛金が増えていれば、売上が伸びているということが一般的である。しかし、単純に売掛金が増えていればよいというわけでもない。売掛金・買掛金のバランスも重要な要素といえます。売掛金が多いのは現金が回収できていないわけであり資金繰りという観点からは危険です。逆に買掛金が多いのは、掛けで取引をしているとはいえ、資金繰りの観点からはよいです。
棚卸資産が寝ている状態になっていないかをみる。棚卸資産が回転して売上原価となっていれば企業の業務は順調ですが、何年も寝ている状態の企業は、業務が順調ではないといえる。
貸付金は外部への資金のもち出しである。外部への資金持出しは、資金繰りの悪化の可能性を含んでいる。
貸付金の回収不能となる場合、問題です。又、ゴルフ会員権などは実質価値のない可能性があるので、要注意です。
売掛金・買掛金と同じことがいえ、回転期間、長期滞留をみます。
あさ出版 経営計画より